易のいろは

I CHING GUIDE

易とは?
易経・易占いの基本を初心者向けに解説

易は、古代中国の占筮を起点に、卦と爻の言葉を通して変化する状況を読み、判断の手がかりを得ようとする知の伝統です。

その中心となる古典が『易経』であり、その仕組みを使って問いを読む方法が易占いです。このページでは、陰陽・八卦・六十四卦という順番で、易の全体像を案内します。

FIRST DEFINITION

易とは

易とは、変化する状況を卦という記号で表し、そこに付された言葉を読みながら、現在の位置と次の行動を考えるための体系です。

もとは古代中国の占筮と深く結びついていました。その後、時代ごとの注釈や思想が重ねられ、占いだけでなく、変化・判断・人の生き方を考える古典としても読まれてきました。

易・易経・易占いの違い

易
易とは、卦と爻の言葉を通して変化する状況を読み、判断の手がかりを得ようとする、古代中国に起源を持つ知の伝統です。
易経
易経とは、『周易』の六十四卦・卦辞・爻辞と、後代の注釈群である十翼を中心に構成される中国古典です。
易占い
易占いとは、問いに対して卦を立て、卦全体と変化する爻を読み合わせ、現在の状況と行動を考える占いです。

YIN AND YANG

易は「陰」と「陽」から始まる

現在の易では、一本の実線を陽爻、中央が分かれた線を陰爻と呼びます。

陽爻と陰爻

陽爻 ようこう
一本につながった線「⚊」。陽の性質を表します。
陰爻 いんこう
中央が分かれた線「⚋」。陰の性質を表します。

二つの線が表すもの

陽と陰は、単純な善悪や優劣ではありません。動と静、外へ向かう働きと受け止める働きなど、異なる性質を相対的に捉えるための二つの見方です。

FROM TWO TO SIXTY-FOUR

八卦から六十四卦へ

八卦とは

八卦とは、陰爻と陽爻を三本組み合わせてできる八つの基本図形です。

乾・兌・離・震・巽・坎・艮・坤があり、それぞれ天・沢・火・雷・風・水・山・地などの象徴と結びつけて読まれます。八つの象意は「八卦について」で紹介しています。

六十四卦とは

六十四卦とは、八卦を上下に二つ重ねてできる六十四通りの卦です。

六本の爻で構成され、それぞれの卦に名前と卦辞、六つの爻に爻辞があります。個別の卦は「六十四卦一覧」から調べられます。

陰陽から、八卦・六十四卦へ

  1. 陰爻と陽爻

    二種類の線

    陰爻
    陽爻
  2. 三本組み合わせる
  3. 八卦

    三本の組み合わせは8通り

    三本の例
  4. 上下に二つ重ねる
  5. 六十四卦

    上の八卦8通り × 下の八卦8通り = 64通り

    上の八卦
    下の八卦
陰爻と陽爻を三本組み合わせたものが八卦です。その八卦を上下に二つ重ねると、六本の爻からなる六十四卦になります。三本・六本の図は組み合わせの一例です。

WHOLE AND POSITION

卦と爻

卦とは

卦とは、陰爻と陽爻の組み合わせによって状況や変化の型を表す記号です。

易経の六十四卦は、六本の爻からできています。

爻とは

爻とは、卦を構成する一本一本の線で、六十四卦では下から上へ六段階の位置を表します。

六十四卦では下から初爻・二爻・三爻・四爻・五爻・上爻と数え、位置ごとに異なる言葉が付されています。

卦の全体と、爻の位置

卦:六本全体

  1. 上爻
  2. 五爻
  3. 四爻
  4. 三爻
  5. 二爻
  6. 初爻

爻の位置は下から上へ数える

六本全体が一つの卦です。爻の位置は、下から初爻・二爻・三爻・四爻・五爻・上爻と数えます。図は六本とも陽爻の例です。

卦が状況の全体図なら、爻はその中で今どこが動いているかを示す位置です。用語を詳しく調べたいときは「易の用語集」をご覧ください。

WHAT THE CHANGES READ

易は何を読むものなのか

卦で状況の全体を読む

易占いでは、問いに対して卦を立て、まず卦全体が示す状況を確認します。

爻で変化する位置を読む

変化する爻がある場合は、その爻辞を読み、現在どの段階にいるのかを考えます。

未来の断定ではなく判断の手がかり

易の言葉は、未来を一つに決める判決ではありません。現在の状況を別の角度から見直し、どのような行動があり得るかを考えるための手がかりです。

FORMATION OF THE CLASSIC

易経はどのようにできたのか

ここまでは、易の仕組みと読み方を見てきました。ここからは、易経の成り立ちと、時代を通じた読まれ方をたどります。

『周易』の形成

『易経』の核となる『周易』は、古代中国の占筮に用いられた六十四卦と、卦辞・爻辞からなる文献です。その原型は西周期にまとめられたと考えられていますが、成立年代や編集過程には現在も議論があります。

十翼と経典化

後に、卦や爻を思想的に解説する文献群が加わりました。これらは十の部分に分けられるため「十翼」と呼ばれます。現在の研究では、戦国期から前漢期にかけて複数の人々によって形成されたと考えられています。

漢代には『周易』本文と注釈群が結びつき、儒教の経典の一つとして位置づけられました。

占いと哲学は分けきれない

易は占筮の書であると同時に、変化・政治・倫理・人間の判断を考える古典として読まれるようになります。

TWO WAYS OF TELLING THE PAST

伝承と歴史研究

伝統的な説明

伏羲・文王・周公・孔子の伝承

伝統的には、伏羲が八卦を定め、文王が六十四卦と卦辞を整え、周公が爻辞を加え、孔子が十翼を著したと語られてきました。伏羲・文王・孔子を「易の三聖」と呼ぶ説明も、この伝統に属します。

歴史研究による説明

現在の研究からわかること

一方、歴史研究では、『周易』と十翼は長い期間をかけて形成された複合的な文献と考えられています。伝承上の人物を、そのまま各部分の歴史的作者とみなすことはできません。

二つの説明は、どちらか一方を消す必要はありません。伝承は易が自らの由来をどう語ってきたかを示し、歴史研究は現存する文献がどのように形成されたかを考えるものです。

「易の三義」は伝統的な解釈

易には、次の三つの意味があると伝統的に説明されます。

易簡
複雑な物事を簡明な仕組みで捉える
変易
万物は変化し続ける
不易
変化の中にも一定の筋道がある

これは「易」という字の確定した語源ではなく、漢代以降の易学で受け継がれてきた解釈です。

THE CHANGES IN JAPAN

日本に伝わった易

古代の記録

『日本書紀』には、553年に百済へ「易博士」などの交代を求めた記録があります。これは6世紀の日本に、朝鮮半島を経由して易・暦・占術に関する知識が伝わっていたことを示します。ただし、『易経』という書物が初めて渡来した年を、この記録だけで確定することはできません。

日本での受容

律令国家では、暦・天文・占いが公的な知識として扱われました。その後、易は宮廷文化、漢学、儒学、占いなど、複数の文脈で長く読まれていきます。

READING TODAY

現代に読む易

ライプニッツとユング

ライプニッツは二進法を独自に考案した後、イエズス会士ブーヴェから易の卦配列を知らされ、両者の形式的な対応に注目しました。易が二進法やコンピュータを直接生んだ、という意味ではありません。

ユングはヴィルヘルム版『易経』に序文を寄せ、易を「シンクロニシティ」という考え方から解釈しました。シンクロニシティは、内面の出来事と外界の出来事が因果関係ではなく意味によって結びつく、というユングの仮説です。易の科学的・心理学的有効性が証明されたという意味ではありません。

「易のいろは」での読み方

「易のいろは」では、易を未来の断定ではなく、現在の状況を読み直し、自分で考えるための手がかりとして案内します。

NEXT STEP

次に学ぶ

八卦の象意、卦の仕組み、卦を立てる方法。いま知りたいことに合わせて、次のページを選べます。

知識を読んだあと、実際の問いに易を重ねてみることもできます。

無料易占いを試す

参考資料・編集情報

歴史に関する記述は、伝承上の説明と現在の研究による説明を区別し、以下の資料を参照して構成しています。

サイトの制作・編集方針と運営主体は「運営者情報・編集方針」をご確認ください。