八卦について
八卦(はっけ)は、易経の根幹をなす八つの基本的な卦です。陰(⚋)と陽(⚊)の三本の爻を組み合わせてできる、全8通りのパターンを指します。
天。純粋な陽の力。創造・剛健・父。
| 自然象 | 天(空) |
|---|---|
| 陰陽 | 陽(三爻すべて陽) |
| 方位 | 北西 |
| 季節 | 晩秋〜初冬 |
| 家族 | 父 |
| 身体 | 頭・骨・肺 |
| 動物 | 馬・龍 |
| 色 | 金色・深紅 |
| 数 | 1・9 |
乾は純粋な陽の卦。三本の爻がすべて陽(実線)で構成されています。天のように力強く、揺るぎない剛健さを象徴します。
物事の始まり、創造の力、指導者のエネルギーを表します。易占いで乾が上卦に来るとき、その状況は強大な力が働いていることを示します。下卦に来るときは、自分自身の内なる強さや意志を意味します。
ただし、純粋な陽の力は行き過ぎると傲慢になりやすい面もあります。強さと謙虚さのバランスが大切です。
易子
乾の卦が出たとき、わたしはいつも「あなたの中にある龍が今どこにいるか」を見るのよ。
力があるのに動けない「潜龍」の状態なのか、まさに天を駆ける「飛龍」の状態なのか——乾の6つの爻はそれを教えてくれるわ。強さを持っていることと、それを使いこなせる時期かどうかは、また別の話なのよね。
澤。喜び・悦び・口・少女。
| 自然象 | 澤(沼・湖) |
|---|---|
| 陰陽 | 陽中有陰(上爻が陰) |
| 方位 | 西 |
| 季節 | 秋 |
| 家族 | 三女(末娘) |
| 身体 | 口・舌・歯 |
| 動物 | 羊・鳥 |
| 色 | 白・金 |
| 数 | 2・7 |
兌は澤(さわ)を象徴する卦。水をたたえた湖のように、内側に力を蓄えながら、表面は穏やかに喜びを示します。
コミュニケーション、喜び、楽しみ、社交性を表します。口や言葉を使う場面にも関連し、弁舌・交渉・芸術表現の象意も持ちます。
表面の柔らかさとは裏腹に、内側には二本の強い陽爻があり、芯の強さを秘めています。
易子
兌の卦が出るとき、わたしはね「口」のことを思うの。言葉って本当に大切よ。
兌は喜びと悦楽の卦だけど、「口」の象意を持つだけに、言葉の使い方次第で吉にも凶にもなるわ。甘い言葉に乗せられていないか、逆に自分が誰かを言葉で傷つけていないか——兌の卦が出たときは、そこも一緒に見てほしいの。
火。明晰・知性・美・中女。
| 自然象 | 火・太陽・雷光 |
|---|---|
| 陰陽 | 陽中有陰(中爻が陰) |
| 方位 | 南 |
| 季節 | 夏 |
| 家族 | 二女(次女) |
| 身体 | 目・心臓 |
| 動物 | 雉・亀・蟹 |
| 色 | 赤・橙 |
| 数 | 3・7 |
離は火を象徴する卦。炎が何かに付いて燃えるように、「付着・依拠」という意味も持ちます。太陽のように明るく照らし、物事を明らかにする力があります。
知性・美しさ・文明・芸術に関連します。目や見ること、明晰な判断力の象意も持ちます。中爻(中心の爻)が陰であることは、外の強さの中に柔らかな中心があることを示しています。
燃えあがる情熱や華やかさを表す一方、燃え尽きやすい側面にも注意が必要です。
易子
離の卦が出たとき、あなたは今とても「見えている」状態にあるのよ——良い意味でも悪い意味でも。
火は照らすけど、燃えつきることもある。離の卦は「輝きのピーク」を示すことが多いわ。ここで慢心すると、火がふっと消えてしまう。光り続けるためには、燃料になるもの——つまりあなたを支える人や環境——を大切にしてね。
雷。動・活動・驚き・長男。
| 自然象 | 雷・地震 |
|---|---|
| 陰陽 | 陰中有陽(下爻のみ陽) |
| 方位 | 東 |
| 季節 | 春 |
| 家族 | 長男 |
| 身体 | 足・肝臓・声 |
| 動物 | 龍・鷲 |
| 色 | 青・緑 |
| 数 | 4・8 |
震は雷を象徴する卦。突然の雷鳴のように、物事が急激に動き出す様子を表します。春の到来とともに眠っていた命が一斉に動き始める、そのエネルギーです。
行動・スタート・驚き・変化の象意を持ちます。下の一本だけが陽で、上二本は陰です。陰の中から陽が突き出る形は、地の底から雷が生まれる様子を表しています。
大きな決断や新しい出来事のきっかけを表すことが多い卦です。
易子
震の卦が出たとき、びっくりしている人が多いのよね。「急に何かが動いた」「予想外のことが起きた」っていう感覚、あるでしょう?
でもわたしはね、震を怖がらないでほしいの。雷って、確かに怖い。でも雷が落ちた後の空気って、清々しいでしょう?震の卦は「ゆさぶり」なの。今の状態を打ち破って、次のステージへ進むための合図よ。
風。従順・浸透・長女。
| 自然象 | 風・木 |
|---|---|
| 陰陽 | 陽中有陰(下爻のみ陰) |
| 方位 | 東南 |
| 季節 | 春〜初夏 |
| 家族 | 長女 |
| 身体 | 股・腸・神経 |
| 動物 | 鶏・蛇 |
| 色 | 白・緑 |
| 数 | 5 |
巽は風と木を象徴する卦。風がどんな隙間にも入り込むように、巽は「浸透・従順・継続」を意味します。
柔軟性・適応力・粘り強さの象意を持ちます。下の一本だけが陰で、力の根底に謙虚さと柔らかさを持つ形です。
命令ではなく、徐々に染み渡るように物事を進める力を表します。焦らず着実に進めることの大切さを教えてくれる卦でもあります。
易子
巽の卦が出る人ってね、実は芯が強い人が多いのよ。「わたしは優柔不断で……」なんて思っているかもしれないけど、違うわ。
風はしなやかに方向を変えながら、最終的にはどこへでも届くでしょう?それが巽の力よ。強引に押すんじゃなくて、じわじわと浸透していく。その粘り強さと柔軟さが、あなたの一番の武器なのよね。
水。険難・深淵・智慧・中男。
| 自然象 | 水・雨・月 |
|---|---|
| 陰陽 | 陰中有陽(中爻のみ陽) |
| 方位 | 北 |
| 季節 | 冬 |
| 家族 | 二男(次男) |
| 身体 | 耳・腎臓・血液 |
| 動物 | 豚・魚 |
| 色 | 黒・紺 |
| 数 | 6・1 |
坎は水を象徴する卦。深い谷や激流のように、険しさ・困難・深淵を表します。しかし水が低いところへ流れながらも前進するように、智慧と柔軟さで困難を乗り越える力も意味します。
中爻(中心)のみが陽で、両側を陰に挟まれた形は、危険の真っ只中に真の力が潜む様子を示しています。
占いで坎が出るときは、試練の時期を示すことが多いですが、同時に内なる智慧が試される機会でもあります。
易子
坎の卦が出たとき、正直に言うわ——これは試練の時よ。でもね、あなたに伝えたいことがある。
水はどんな形の器にも入るでしょう?どんな狭い隙間でも流れていくでしょう?坎の卦が持つ本当の力は、そこなのよ。険難の中で固まらずに、流れ続ける——それができた人だけが、深い知恵を手に入れるわ。今は「流れること」を信じてほしいの。
山。静止・篤実・止まる・少男。
| 自然象 | 山・岩 |
|---|---|
| 陰陽 | 陰中有陽(上爻のみ陽) |
| 方位 | 北東 |
| 季節 | 晩冬〜早春 |
| 家族 | 三男(末男) |
| 身体 | 手・指・背中 |
| 動物 | 犬・鼠・虎 |
| 色 | 黄土色・茶 |
| 数 | 7・8 |
艮は山を象徴する卦。山が動かないように、「止まること・踏みとどまること」の意味を持ちます。上の一本だけが陽で、その上に動きが止まった状態を示しています。
静止・安定・篤実・瞑想の象意を持ちます。行き過ぎた行動を止め、現状をしっかりと固める力を表します。
占いで艮が出るときは「今は止まるとき」のサインであることが多く、焦らず現状を守ることの大切さを教えてくれます。
易子
艮の卦が出たとき、「また動けないのか」ってがっかりしている人がいるのよね。でも、ちょっと待って。
わたしはね、艮を「賢い勇気」の卦だと思っているの。山が動かないのは弱いからじゃない、揺るぎない意志があるから。「ここで止まる」と決めることは、「ここで踏みとどまって守るものを守る」という、強い意思表示なのよ。今何を守ろうとしているか、自分に問いかけてみてね。
地。純粋な陰の力。受容・育む・母。
| 自然象 | 地・大地 |
|---|---|
| 陰陽 | 陰(三爻すべて陰) |
| 方位 | 南西 |
| 季節 | 晩夏〜初秋 |
| 家族 | 母 |
| 身体 | 腹・脾臓・肉 |
| 動物 | 牛・馬(牝) |
| 色 | 黄・黒 |
| 数 | 2・8・10 |
坤は大地を象徴する卦。乾(天・陽)と対をなす、純粋な陰の卦です。すべての爻が陰(分割線)で構成されています。
受容・包容・育む力・従順・忍耐の象意を持ちます。大地があらゆるものを受け入れ、育てるように、坤は受け入れることの偉大さを表します。
決して弱さではなく、乾の創造の力を受け止め、形にする「完成の力」です。乾と坤はともに易経の根幹であり、宇宙の二大原理を象徴します。
易子
坤の卦が出た人に、わたしはいつもこう伝えるの。「あなたは今、とても大切な役割を担っているのよ」って。
坤は受け入れる卦。誰かを支えている、誰かのために動いている——そんな状況を示すことが多いわ。地味に見えるかもしれない。でもね、大地がなければ何も育たない。あなたが誰かの「大地」になっていることを、誇りに思ってほしいの。ただ、受け入れすぎて自分を見失わないようにだけ気をつけてね。
易子
あなた、八卦って聞いてちょっと身構えていない?「難しそう」って思っているのよね?
わたしはね、八卦は「自然界の8つの顔」だと思っているの。天・澤・火・雷・風・水・山・地——この8つに、この世界のあらゆるものが収まるのよ。
占いで卦が出たとき、上卦と下卦それぞれがどんな顔を持っているかを知っていると、結果がずっと深く読めるようになるわ。まずは8つの「顔」を、じっくり覚えていきましょう。