上卦 乾
上九
九五
九四
下卦 兌
六三
九二
初九

てんたくり · 第10卦 · 上経

天沢履

Treading

卦辞

虎尾を履む。人を咥わず。亨

とらのおをふむ。ひとをくわず。こう

虎の尾を踏む。しかし噛まれない。亨る

礼節 慎重 危険を行く 礼儀 踏み行く 度胸 正道 作法
神龍
易子
神龍易子先生より

あなた、天沢履を調べているのね。これは「虎の尾を踏む」という、なかなか緊迫した卦よ。

履という字はね、もともと「踏む」という意味と「礼(れい)」の意味が重なっているの。礼節を踏み行う——そういう卦なのよ。だから、怖い状況でも礼儀正しく行動することで、道が開かれるというメッセージ。

虎の尾を踏んでも噛まれないのは、その人が正しい振る舞いをしているから。強い相手の前で怯えて逃げるのでもなく、無謀に突っかかるのでもなく、礼を以て堂々と歩む——それがこの卦の求める姿よ。

天沢履とは

天沢履(てんたくり)は、易経・六十四卦の第十卦です。上卦に「乾(☰)」天、下卦に「兌(☱)」沢を配し、喜びある沢の上に、厳かな天の威が立つ形です。「履(り)」とは踏む・歩む・礼の実践を意味し、この卦は「礼節によって危険な状況を乗り越える」ことを教えます。

卦辞の「虎の尾を踏む」は、きわめて危険な状況の比喩です。虎の尾を踏んでいながら「人を咥わず」——噛まれないのは、なぜか。それは礼を心得た者の振る舞いが、虎をさえ制するからです。力や勇気ではなく、礼・作法・正しい態度こそが、この卦の核心です。

下卦の兌(沢)は悦び・柔らかさを、上卦の乾(天)は強さ・剛健を象徴します。柔らかな態度で剛の者に接する——これが履の構造です。強者の前で怯まず、しかし礼を失わず、正しく歩むことで道が開かれます。

この卦が示すのは、今は礼節を以て行動する時です。強い相手・難しい状況でも、正しい作法で臨めば道は開かれます。無礼・傲慢・焦りは禁物。

卦辞の解説

原文(周易)

虎尾を履む。人を咥わず。亨

とらのおをふむ。ひとをくわず。こう

虎の尾を踏む。しかし噛まれない。亨る

虎尾(とらのお)——礼節が切り拓く危険な道
虎の尾を踏む場面は、非常な緊張と危険を示します。しかし礼を知る者はここで怯まず、正しい作法で進む。礼節こそがこの卦最大の武器です。

咥わず(くわず)——正しい態度が身を守る
噛まれないのは偶然ではなく、礼ある者が発する「気」が虎の怒りを鎮めるからです。力に力で対抗せず、礼で制す——これが天沢履の知恵です。

亨(こう)——礼を持って進めば通じる
礼節ある行動は、やがて道を開きます。今が困難でも、正しい振る舞いを守れば最終的には亨る(通じる)という易の約束です。

六爻一覧

爻辞 よみ・意味 吉凶

第六爻

上九

視履考祥。其の旋、元吉

りをみてしょうをかんがえる。そのめぐり、げんきち

歩みを振り返り、すべてを吟味する。礼を以て歩んだ結果は大吉

大吉 爻辞の解説を見る

第五爻

九五

夬履。貞なれば厲し

かいり。ていなればはげし

果断に踏み行く。正道を貫けど道は険しい。慎重に

小凶 爻辞の解説を見る

第四爻

九四

虎尾を履む。愬愬として、終には吉

とらのおをふむ。さくさくとして、ついにはきち

虎の尾を踏む危険の中も、慎み恐れながら進めば終には吉

中吉 爻辞の解説を見る

第三爻

六三

眇にして能く視、跛にして能く履む。虎尾を履む。人を咥う。凶。武人大君と為る

すがめにしてよくみ、びっこにしてよくふむ。とらのおをふむ。ひとをくう。きょう。ぶじんたいくんとなる

力不足なのに無謀に進み、虎の尾を踏んで噛まれる。凶

爻辞の解説を見る

第二爻

九二

履道坦坦。幽人の貞なれば吉

りどうたんたん。ゆうじんのていなればきち

平坦な道を踏み行く。静かに守り続ける人の正道は吉

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第一爻

初九

素履往く。咎なし

そりゆく。とがなし

飾り気なく素直に進む。咎なし

爻辞の解説を見る

構成する八卦

関連する卦

神龍
易子
神龍易子先生より

わたしがね、天沢履から学んだのは「礼は最強の盾になる」ということ。

上司や取引先、難しい相手と向き合うとき——この卦を学ぶなら、まず自分の態度を整えてみて。焦らず、礼儀を崩さず、しかし臆せず。

六爻の最後「視履考祥」はね、歩みを振り返りすべてを吟味する爻。礼を以て歩み続けた人には、最後に「元吉」——大吉が待っているのよ。正しく歩んだことへの、易からの褒め言葉ね。

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