易のいろは

第10卦 · 上経

天沢履てんたくり

Treading

礼を以て危険な道を踏み行く卦。正しい振る舞いが虎すら退ける。

  • 礼節
  • 慎重
  • 危険を行く
  • 礼儀
  • 踏み行く
  • 度胸
  • 正道
  • 作法
天沢履の卦図

卦のかたちを知る

天沢履の基本構造

第10卦天沢履
上卦(外卦)乾 けん · 金
下卦(内卦)兌 だ · 金

案内役 神龍易子

神龍易子と天沢履を読む

あなた、天沢履を調べているのね。これは「虎の尾を踏む」という、なかなか緊迫した卦よ。

履という字はね、もともと「踏む」という意味と「礼(れい)」の意味が重なっているの。礼節を踏み行う——そういう卦なのよ。だから、怖い状況でも礼儀正しく行動することで、道が開かれるというメッセージ。

虎の尾を踏んでも噛まれないのは、その人が正しい振る舞いをしているから。強い相手の前で怯えて逃げるのでもなく、無謀に突っかかるのでもなく、礼を以て堂々と歩む——それがこの卦の求める姿よ。

原典を読む

天沢履の卦辞

原文・読み・現代語訳を分けて示し、言葉の種類を混同せずに読み進めます。

原文

虎尾を履む。人を咥わず。亨

読み

とらのおをふむ。ひとをくわず。こう

現代語訳

虎の尾を踏む。しかし噛まれない。亨る

虎尾(とらのお)——礼節が切り拓く危険な道

虎の尾を踏む場面は、非常な緊張と危険を示します。しかし礼を知る者はここで怯まず、正しい作法で進む。礼節こそがこの卦最大の武器です。

咥わず(くわず)——正しい態度が身を守る

噛まれないのは偶然ではなく、礼ある者が発する「気」が虎の怒りを鎮めるからです。力に力で対抗せず、礼で制す——これが天沢履の知恵です。

亨(こう)——礼を持って進めば通じる

礼節ある行動は、やがて道を開きます。今が困難でも、正しい振る舞いを守れば最終的には亨る(通じる)という易の約束です。

卦全体を理解する

卦全体の理解

一

天沢履(てんたくり)は、易経・六十四卦の第十卦です。上卦に「乾(☰)」天、下卦に「兌(☱)」沢を配し、喜びある沢の上に、厳かな天の威が立つ形です。「履(り)」とは踏む・歩む・礼の実践を意味し、この卦は「礼節によって危険な状況を乗り越える」ことを教えます。

二

卦辞の「虎の尾を踏む」は、きわめて危険な状況の比喩です。虎の尾を踏んでいながら「人を咥わず」——噛まれないのは、なぜか。それは礼を心得た者の振る舞いが、虎をさえ制するからです。力や勇気ではなく、礼・作法・正しい態度こそが、この卦の核心です。

三

下卦の兌(沢)は悦び・柔らかさを、上卦の乾(天)は強さ・剛健を象徴します。柔らかな態度で剛の者に接する——これが履の構造です。強者の前で怯まず、しかし礼を失わず、正しく歩むことで道が開かれます。

四

この卦が示すのは、今は礼節を以て行動する時です。強い相手・難しい状況でも、正しい作法で臨めば道は開かれます。無礼・傲慢・焦りは禁物。

初爻から上爻へ

天沢履 六爻の流れ

  1. 一初爻

    初九

    飾り気なく素直に進む。咎なし

    吉
    初九を詳しく読む
  2. 二二爻

    九二

    平坦な道を踏み行く。静かに守り続ける人の正道は吉

    吉
    九二を詳しく読む
  3. 三三爻

    六三

    力不足なのに無謀に進み、虎の尾を踏んで噛まれる。凶

    凶
    六三を詳しく読む
  4. 四四爻

    九四

    虎の尾を踏む危険の中も、慎み恐れながら進めば終には吉

    中吉
    九四を詳しく読む
  5. 五五爻

    九五

    果断に踏み行く。正道を貫けど道は険しい。慎重に

    小凶
    九五を詳しく読む
  6. 六上爻

    上九

    歩みを振り返り、すべてを吟味する。礼を以て歩んだ結果は大吉

    大吉
    上九を詳しく読む

六爻の本文は既存の現代語訳 trans を改変・短縮せず表示しています。

案内役 神龍易子

六爻を振り返る

わたしがね、天沢履から学んだのは「礼は最強の盾になる」ということ。

上司や取引先、難しい相手と向き合うとき——この卦を学ぶなら、まず自分の態度を整えてみて。焦らず、礼儀を崩さず、しかし臆せず。

六爻の最後「視履考祥」はね、歩みを振り返りすべてを吟味する爻。礼を以て歩み続けた人には、最後に「元吉」——大吉が待っているのよ。正しく歩んだことへの、易からの褒め言葉ね。

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