かざんりょ · 第56卦 · 下経
火山旅
The Wanderer
卦辞
旅は小亨。旅の貞なれば吉
りょはしょうこう。りょのていなればきち
旅は小さく亨る。旅人としての正道を守れば吉
火山旅とは
火山旅は山(艮)の上に火(離)がある形です。山の上の火は一所に定まらず燃え移る——旅人が各地を渡り歩く様子を象徴します。「旅」は故郷を離れ、異郷をさまよう状態を意味します。
旅人の立場は脆弱です。土地のしきたりも人脈もなく、常に客人・よそ者として扱われます。この卦は、そのような不安定な状況の中でいかに振る舞うかを教えます。謙虚さと慎重さが生き延びる鍵です。
「旅の貞(ただしさ)」とは何でしょうか。旅人は軽く身を持ち、目立ちすぎず、地元の人を尊重し、一時の宿での縁を大切にすること。焦らず、怒らず、小さなことから着実に進むことです。
占い的には、移動・転職・転居・新天地での活動が示される卦です。今いる環境が安定していない時期ですが、正しい姿勢と謙虚さがあれば小さな成功は得られます。大きな冒険より、堅実な一歩一歩を。
卦辞の解説
原文(周易)
旅は小亨。旅の貞なれば吉
りょはしょうこう。りょのていなればきち
旅は小さく亨る。旅人としての正道を守れば吉
旅(りょ)
旅・旅人・漂泊。故郷を離れた異郷での暮らし。定まった居場所のない状態。
小亨(しょうこう)
小さく亨る。大きな成功ではなく、小さな成果を積み上げること。
旅の貞なれば吉(りょのていなればきち)
旅人としての正道——謙虚・慎重・礼儀正しさを守れば吉。
六爻一覧
| 爻 | 爻辞 | よみ・意味 | 吉凶 | |
|---|---|---|---|---|
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第六爻 上九 |
鳥其の巣を焚く。旅人先に笑い後に号泣す。牛を易に喪う。凶 |
とりそのすをたく。りょじんさきにわらいのちにごうきゅうす。うしをえきにうしなう。きょう 鳥が巣を焼く。旅人は先に笑い後に泣く。牛を軽率に失う。凶 |
凶 | 爻辞の解説を見る |
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第五爻 六五 |
雉を射て一矢を亡わす。終に以て誉命を得 |
きじをいていちやをうしなう。ついにもってよめいをえ 雉を射て一本の矢を失う。最後には名誉と命を得る |
吉 | 爻辞の解説を見る |
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第四爻 九四 |
旅于処。其の資斧を得。我が心快からず |
りょうしょにいる。そのしふをえ。わがこころよからず 旅人が仮の住処を得て財産もある。しかし心は満たされない |
平 | 爻辞の解説を見る |
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第三爻 九三 |
旅其の次を焚く。其の童僕を喪う。貞なれど厲し |
りょそのじをたく。そのどうぼくをうしなう。ていなれどはげし 旅人が宿を焼いてしまう。僕を失う。正しくても危うい |
凶 | 爻辞の解説を見る |
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第二爻 六二 |
旅即次し、其の資斧を懐にす。童僕の貞を得 |
りょそくし、そのしふをふところにす。どうぼくのていをえ 旅人が宿に落ち着き、財産を持ち、忠実な僕を得る |
吉 | 爻辞の解説を見る |
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第一爻 初六 |
旅琐琐。斯れ其の災いを取る |
りょさくさく。これそのわざわいをとる 旅人がつまらないことに関わる。自ら災いを招く |
凶 | 爻辞の解説を見る |
構成する八卦
関連する卦
易子
二爻の爻辞がきれいよ。「旅即次(りょそくし)——旅人が宿に落ち着いて、財産を懐に持ち、童僕を得る」。謙虚に振る舞った旅人が、だんだんと足場を作っていく様子ね。
でも三爻は悲しいの。「旅焚其の次、其の童僕を喪う」——宿が焼けて、童僕も去ってしまう。旅の卦の中で最も厳しい爻よ。人の上に立って傲慢になったとき、大切なものをすべて失うという警告ね。
上爻も切ないわ。「鳥が巣を焼いてしまう」——上に登りすぎて、帰る場所をなくした旅人の象よ。旅の卦ではね、高いところに行こうとしすぎることが一番の危険なの。
易子
旅の卦はね、なんだか切ない卦よ。故郷を離れた旅人の卦だから、どこか孤独な感じがするの。
山の上に火がある——ずっと一所に止まれず、燃え移っていく。旅人ってそういうものでしょう?落ち着いたと思ったら、また次の土地へ。
でも「旅の貞なれば吉」という言葉が素晴らしいの。どこにいても、自分の正道を守っていれば吉になる。環境が不安定でも、内側がしっかりしていれば大丈夫ということよ。