経済・産業 生活・物価

2026年6月2日

鶏肉が過去最高値、「節約志向のせい」を易で読む

山地剥——逃げ場が一枚ずつ剥がされていく時

▌ 今回の時事

農林水産省の調査で、鶏もも肉の店頭平均価格が100グラム154円と過去最高値を更新。鈴木農相は「物価高による節約志向で牛・豚から鶏へ需要がシフトしたため」と説明したが、実態は円安による輸入飼料コストの高騰が主因。鶏卵・豚肉も記録的高値が続いており、食品全体で値上がりが進行中。

出典:元記事を読む →

易子先生が引いた卦

第23卦

山地剥

さんちはく

神龍
易子
神龍易子先生のコラム

牛肉が高くなった。豚肉に移った。豚肉が高くなった。鶏肉に移った。その鶏肉が、今度は過去最高値になった。

わたしはこの流れを見て、「剥ね」と思ったの。

山地剥——一枚ずつ剥がされていく卦

山地剥。第23卦。上が艮(山)、下が坤(地)。大地の上に山があるけれど、その山が少しずつ崩れ、地に落ちていく。「剥」とは「剥がされる・剥落する」こと。一枚ずつ、確実に。

卦の形を見てね。六爻のうち、上に一つだけ陽爻(⚊)があって、残り五つはすべて陰爻(⚋)。陰が下から積み上がって、最後に残った一つの陽を剥がそうとしている——これが剥の形よ。

食卓の「逃げ場」が、まさにこの形で剥がされているの。

「往くところに利なし」

剥の卦辞はこう言う——「剥は往くところに利なし」。

どこへ行っても利がない。牛肉から逃げて豚肉へ、豚肉から逃げて鶏肉へ——その行為自体が鶏肉の値段を上げる。節約しようとする動きが、節約の対象を高くする。剥の時代とはこういうものよ。

農相は「節約志向で需要がシフトしたから高くなった」と言った。それはそうかもしれない。でも本当のことを言えば、円安で飼料が高くなったから、どの肉も軒並み上がっているのよ。シフト先がなくなっているの。

剥の時、上に立つ者がすべきこと

剥の象辞はこう言う——「山附地上、剥。上以厚下安宅」。山が地に落ちていく時、上に立つ者は下の民を豊かにし、その住まいを安定させなければならない。

「節約志向のせい」という説明は、下の民を豊かにする言葉じゃないわ。剥の時に求められるのは、現象の説明より原因への対処ね。

易子先生のひとこと

剥の卦のあとには、第24卦「地雷復」が来る。復は「戻ること・再生すること」の卦よ。

剥は終わりじゃない。一枚ずつ剥がされた先に、必ず「復」の萌芽がある——易はそう言っているの。

ただ、今は剥の真っ只中。逃げ場を探すより、剥の原因を直視することが先よ。

← コラム一覧に戻る