さんちはく · 第23卦 · 上経
山地剥
Splitting Apart
卦辞
剥、往くところあるに利しからず
はく、ゆくところあるによろしからず
剥は、どこかへ往くに利しからず
山地剥とは
山地剥(さんちはく)は、易経・六十四卦の第二十三卦です。上卦に「艮(☶)」山、下卦に「坤(☷)」地を配します。六爻のうち上爻の一本だけが陽爻——下から五本の陰爻が陽を剥ぎ取っていく形です。「剥(はく)」とは「剥がす・剥ぎ取る・崩れる」を意味します。
秋が深まり、木の葉が剥がれ落ちていく象。陰が極まり、ただ一本残った陽も今にも失われそうな——衰退・崩壊の局面を示します。卦辞「往くところあるに利しからず」——今は動いてはいけません。
しかし易は、剥の後には必ず「地雷復(第二十四卦)」が来ると教えます。陰が極まれば陽が返る——これが易の基本原理です。剥の時代に必要なのは、焦らず静かに待ち、陽気が戻るのを内側で守ること。
この卦が示すのは、動かないことが最善の行動です。嵐の中で木の根が地にしっかり張るように、内を固め、外に出ず、ただ時を待つ。冬は必ず春になります。
卦辞の解説
原文(周易)
剥、往くところあるに利しからず
はく、ゆくところあるによろしからず
剥は、どこかへ往くに利しからず
剥(はく)——剥がれ落ちる
木の葉が秋に散るように、これまで積み上げてきたものが失われていく時。この動きに逆らって取り戻そうとしても徒労です。自然の流れに従い、失うものは失う覚悟が必要です。
往くところあるに利しからず——動くな
これほどはっきりした「動くな」のメッセージは易の中でも珍しい。積極的に行動しようとする全てのことに、今は利がない。静止こそが最良の行動です。
剥の後の復——陰極まれば陽が生まれる
剥の次の卦は地雷復。陰が完全に極まった後、必ず陽が戻る。これが易の大きな約束です。剥の時代の辛抱は、必ず報われます。
六爻一覧
| 爻 | 爻辞 | よみ・意味 | 吉凶 | |
|---|---|---|---|---|
|
第六爻 上九 |
碩果食われず。君子は輿を得る。小人は廬を剥がす |
せきかくわれず。くんしはくるまをえる。しょうじんはいおりをはがす 大きな果実は食べられずに残る。君子は恵みを得て、小人は自分の廬を剥がし自滅する |
吉 | 爻辞の解説を見る |
|
第五爻 六五 |
貫魚。宮人寵を以てす。利なきなし |
かんぎょ。きゅうじんちょうをもってす。りなきなし 魚を串に通すように連なる。宮人が君の寵愛を得る。利なきなし |
吉 | 爻辞の解説を見る |
|
第四爻 六四 |
床を剥ぐ。膚を以てす。凶 |
とこをはぐ。はだをもってす。きょう 寝台が肌まで削られる。身体への直接的な危険が迫る。大凶 |
大凶 | 爻辞の解説を見る |
|
第三爻 六三 |
之を剥ぐ。咎なし |
これをはぐ。とがなし (周囲の腐敗から)剥がれ離れる。咎なし |
平 | 爻辞の解説を見る |
|
第二爻 六二 |
床を剥ぐ。辨を以てす。貞を蔑す。凶 |
とこをはぐ。べんをもってす。ていをめっす。きょう 寝台の縁板を削る。腐敗が進行し正道が失われる。凶 |
凶 | 爻辞の解説を見る |
|
第一爻 初六 |
床を剥ぐ。足を以てす。貞を蔑す。凶 |
とこをはぐ。あしをもってす。ていをめっす。きょう 寝台の脚を削る。正道が地の底から崩れ始める。凶 |
凶 | 爻辞の解説を見る |
構成する八卦
関連する卦
易子
上九の爻辞「碩果食われず」——大きな果実がまだ木に残っている。
これはね、剥の極みにあってもなお残る、最後の陽爻の象よ。すべてが失われたように見えても、核心だけは残る——そこから次の復が始まるの。
果実が食われずに残れば、その種から新しい木が生まれるでしょう?剥落は終わりじゃなくて、次の復への準備。あなたの中に残っている核心を、大切に守り続けてね。
易子
あなた、山地剥を調べているのね。これはね、じっと待つことを求める卦よ。
下から陰爻が五本積み上がって、最後の陽爻一本をいまにも剥ぎ取ろうとしている形——木の葉が秋風に散っていく象ね。
「往くところあるに利しからず」——今はどこにも動かないことが最善。これはね、弱気になれということじゃなくて、嵐の中では木の根のように地にしっかり張って、ただ待てということなの。逆風のときに無理に動くより、嵐が過ぎるのを待つほうが賢い。