かたくけい · 第38卦 · 下経
火沢睽
Opposition
卦辞
睽は小事に吉
けいはしょうじによろし
睽は小さな事に吉
火沢睽とは
火沢睽(かたくけい)は、易経・六十四卦の第三十八卦です。上卦に「離(☲)」火、下卦に「兌(☱)」沢を配します。火は上へ、水(沢)は下へ——互いに逆方向を向いて離れていく象。「睽(けい)」は「背き合う・乖離・対立」を意味します。
風火家人(第三十七卦)が「内の和合」なら、睽はその対——「乖離・相反」の状態です。家族・組織・社会において、互いの志や方向が合わなくなっている局面を示します。
「睽は小事に吉」——大きなことを一緒にやろうとすると摩擦が生じますが、小さなことなら共に動ける。対立が深いとき、まず小さな共通点から積み上げていくことが易の智慧です。また、「同じ中に異あり、異なる中に同じものあり」——対立を通じて互いの個性が明確になることにも、価値があります。
この卦が示すのは、今は方向性の違いを無理に解消しようとしない時です。小さなことから少しずつ。また、相手との違いを認め、その中に意外な接点を見つける目を養ってください。
卦辞の解説
原文(周易)
睽は小事に吉
けいはしょうじによろし
睽は小さな事に吉
睽(けい)——背き合うもの
「睽」は睨み合い・すれ違い・乖離の象。互いが反対方向を向いているとき、力ずくで合わせようとすると双方が傷つきます。まず現状を認め、受け入れることから始まります。
小事に吉——小さな接点を積み上げる
大きな方向性が違っても、小さなことでは協力できる場面がある。そこから少しずつ信頼を積み上げていく——分裂を超える時の現実的な処方箋です。
異なる中の同——差異の中に共通点を見る
天と地は相反するが、共に生命を育む。男と女は異なるが、共に家を作る。睽は対立を問題としながらも、その差異の中に意義を見出す視点を教えます。
六爻一覧
| 爻 | 爻辞 | よみ・意味 | 吉凶 | |
|---|---|---|---|---|
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第六爻 上九 |
睽孤す。豕を負うに塗を見る。鬼を載する一車を見る……往けば雨に遇う。吉 |
けいこす。いのこをおうにみちをみる。おにをのせるいっしゃをみる……ゆけばあめにあう。きち 疑心暗鬼の極み。すべてが怪しく見える。しかし進めば雨(和解)に遇う。吉 |
吉 | 爻辞の解説を見る |
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第五爻 六五 |
悔亡ぶ。厥の宗、膚を噬む。往けば何の咎あらんや |
くいほろぶ。そのたぐい、はだをかむ。ゆけばなんのとがあらんや 仲間が親密に近づく。進んでいけば何の咎もない |
吉 | 爻辞の解説を見る |
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第四爻 九四 |
睽孤す。元夫に遇う。交孚す。厲なれど咎なし |
けいこす。げんぷにあう。まじわりまことす。はげなれどとがなし 孤立の中で信頼できる人と出会う。誠実に交われば危うくても咎なし |
中吉 | 爻辞の解説を見る |
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第三爻 六三 |
車を曳くを見る。其の牛掣せられ。其の人天且劓せらる。初め无くして終あり |
くるまをひくをみる。そのうしひかれる。そのひとてんかつはなをきられる。はじめなくしてわりあり 困難な道中。牛も人も苦しめられる。しかし始めは悪くても終わりがある |
小凶 | 爻辞の解説を見る |
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第二爻 九二 |
巷に主に遇う。咎なし |
ちまたにしゅにあう。とがなし 路地で主君(本来の縁)に偶然出会う。咎なし |
平 | 爻辞の解説を見る |
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第一爻 初九 |
悔亡ぶ。馬を喪いて逐うなかれ。自ら復る。悪人を見て咎なし |
くいほろぶ。うまをうしないておうなかれ。みずからかえる。あくじんをみてとがなし 後悔なし。失ったものを追うな。自然に戻ってくる。悪人に会っても咎なし |
平 | 爻辞の解説を見る |
構成する八卦
関連する卦
易子
九四の爻辞「睽孤す。元夫に遇う。交孚す。厲なれど咎なし」——孤立の中で、心から信頼できる人と出会う。
これはね、乖離の時代に最も深い出会いが起きる、という逆説よ。みんなと一緒にいる時より、孤立しているときの方が、本当の縁が見えやすいの。睽の時代に出会った人は、一生もの。
上九「睽孤す。豕を負うに塗を見る、鬼を載する一車を見る……」——疑い深くなって、すべてが敵に見える段階。でも最後に「往けば雨に遇う。吉」——誠実に進んでいれば、雨(和解・解放)が来る。疑心暗鬼は最後には晴れるのよ。
易子
あなた、火沢睽を調べているのね。「背き合う」卦よ。誰かと方向性が合わなくて、悩んでいることがあるのかしら。
火は上へ燃え上がり、沢の水は下へ流れ込む——正反対の方向を向いている。でもね、易はこれを「凶」とは言わないの。「小事に吉」——小さなことから動いていけば良いと言うのよ。
「同異の妙」という言葉があってね、違うからこそ互いに補い合える。男女も、異なる個性を持つ仲間も、全員が同じ方向を向いていたら、死角ができてしまうでしょう?睽の対立は、実は豊かさの源でもあるの。