らいちよ · 第16卦 · 上経
雷地豫
Enthusiasm
卦辞
豫、侯を建て師を行るに利し
よ、こうをたてていくさをゆかするによろし
豫は諸侯を立て、軍を動かすに利し
雷地豫とは
雷地豫(らいちよ)は、易経・六十四卦の第十六卦です。上卦に「震(☳)」雷、下卦に「坤(☷)」地を配します。大地の中から雷が突き出る象——春の雷が万物を目覚めさせ、天地に喜びが満ちる様子です。「豫(よ)」は喜び・楽しみ・準備万端を意味します。
第十五卦「地山謙」と対をなす綜卦です。謙が「内に蓄える」卦なら、豫は「外に発する」卦。謙の時代に積み上げてきたものが、ここで勢いよく動き出します。
この卦の注目は九四——六爻の中で唯一の陽爻が四爻にあり、他の五つの陰爻がすべてこの一陽に従います。一人の人物が中心となり、人々の心を動かして大事業を起こす象です。「豫」の字が「象(ぞう)」を含むように、雄大なスケールで物事を動かす力がここにあります。
この卦が示すのは、準備は整っています。今こそ動き出す時、人を動かす時。ただし喜びに溺れず、六二の「介于石(いしにかいたる)」のように、確固たる判断力を忘れずに。
卦辞の解説
原文(周易)
豫、侯を建て師を行るに利し
よ、こうをたてていくさをゆかするによろし
豫は諸侯を立て、軍を動かすに利し
豫(よ)——準備・喜び・勢い
豫は「あらかじめ準備する」という意味と「喜ぶ・楽しむ」という意味の両方を持ちます。十分な準備があるからこそ、心から喜べる——これが豫の本質です。
侯を建て(こうをたて)——人を立てる
諸侯を任命する、つまり人に権限を委ねること。一人で抱え込まず、適材適所で人を配置する。これが大事業を動かす要諦です。
師を行る(いくさをゆかする)——大きく動く
軍を動かすような大規模な行動。十分に準備が整ったこの時、大きく動くことが吉。迷わず、勢いを生かして前進する。
六爻一覧
| 爻 | 爻辞 | よみ・意味 | 吉凶 | |
|---|---|---|---|---|
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第六爻 上六 |
冥豫。成れり。有渝、咎なし |
めいよ。なれり。かわることあれば、とがなし 暗い喜びに溺れていた。しかし目覚めて変われば咎なし |
小凶 | 爻辞の解説を見る |
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第五爻 六五 |
貞疾。恒不死 |
ていしつ。つねにしせず 正道を守りつつ苦難にある。しかし死ぬことはない。困難の中で存続する |
平 | 爻辞の解説を見る |
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第四爻 九四 |
由豫。大有得。疑わくは朋克て簪まる |
ゆうよ。おおいにえることあり。うたがうなかれともかつてあつまる 豫の主。大いに得るものがあり、仲間が集まる吉兆 |
大吉 | 爻辞の解説を見る |
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第三爻 六三 |
盱豫。悔あり。遅れあれば悔あり |
くよ。くいあり。おくれあればくいあり 上を仰いで喜ぶ。後悔がある。決断が遅れればさらに悔いが増す |
小凶 | 爻辞の解説を見る |
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第二爻 六二 |
介于石、日を終えず。貞なれば吉 |
いしにかいたる、ひをおえず。ていなればきち 石のように確固として、兆しを見れば即座に動く。正直に判断すれば吉 |
吉 | 爻辞の解説を見る |
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第一爻 初六 |
鳴豫。凶 |
めいよ。きょう 喜びをひけらかす。凶 |
凶 | 爻辞の解説を見る |
構成する八卦
関連する卦
易子
六二の爻辞はね、「介于石、日を終えず」——石のように確固として、一日も待たず即座に動く。
わたしはこの爻が好きでね。喜びと勢いの卦なのに、その核心に「揺るぎない判断力」を求めているの。勢いに乗ることと、流されることは違う。その区別ができる人が、雷地豫の力を本当に使いこなせるのよ。
上六の「冥豫」——暗い喜びに溺れていた状態から目覚めれば咎なし、という爻。楽しみすぎて本道を忘れたなら、今すぐ軌道修正すればいい。易はいつも「今からでも遅くない」と言ってくれるの。
易子
あなた、雷地豫を調べているのね。喜びと勢いの卦よ。
大地から雷が轟く——春の訪れを告げる雷でしょう?万物が目を覚まし、「いよいよ始まる」という喜びに満ちる瞬間。雷地豫はその喜びと勢いそのものよ。
九四の一陽が主爻でね、五つの陰爻がすべてそこに集まってくる。一人の人物の喜び・勢いに、周りがついてくる——これが豫の力よ。あなたの熱量が、今は人を動かせる時期なの。