易のいろは

第6卦・てんすいしょう

天水訟 九二

争いと対立の卦。正当な主張があっても争いを長引かせるな。中途和解が最善。

卦のかたちを知る

今回の爻の位置この爻の位置

上卦(外卦)乾 天・陽・剛健

  1. 上九
  2. 九五
  3. 九四

下卦(内卦)坎 水・険難・陥穽

  1. 六三
  2. 今回の爻この爻九二
  3. 初六
天水訟の六爻を上から上爻、初爻の順に示しています。

原典を読む

天水訟 九二の爻辞

原文

訟に克たず。帰りて逋る。其の邑の人三百戸。眚なし

読み

しょうにかたず。かえりてのがる。そのゆうのひとさんびゃっこ。わざわいなし

現代の言葉で捉える

天水訟 九二の現代語訳

争いに勝てないと悟り引き退く。小さなコミュニティに戻れば災いなし

易の仕組みから理解する

なぜ天水訟 九二をこのように読むのか

一

九二という位置

九二は下卦・坎(水)の中爻。陽爻が二位(陰位)に立ち、位は不正だが中位を得ている。中の徳があることで、引き時をわきまえる知恵が生まれる。上の九五(陽)と相克し、強者との直接対立では勝てない。しかし退くことで「眚なし」——身を守ることができる。

二

この爻が象徴するもの

知退

引き退くことを知る賢さ

三

天水訟 九二の詳しい意味

「訟に克たず(しょうにかたず)」——訴訟・争いに勝てないと悟る。「帰りて逋る(かえりてのがる)」——逃げ帰る。負けを認めて引き下がること。「其の邑の人三百戸(そのゆうのひとさんびゃっこ)」——三百戸とは小さなコミュニティ。大きな世界での競争を諦め、自分が輝ける小さな場所に戻ることを選ぶ。「眚なし(わざわいなし)」——それで良い。災いはない。

九二は陽爻で二位(中位)に立つが、上の九五(陽爻)と陽陽で相克する。強い力を持ちながらも、強者(九五・天子位)との争いには勝てない。賢明な人間は自分の力量を見極め、大きな舞台での争いをあきらめて、自分が輝ける小さな場所に戻る。

象伝には「訟に克たず、帰りて逋るは、訟は長ずべからざればなり(しょうにかたず かえりてのがるは、しょうはながずべからざればなり)」とある。争いは長引かせるべきではない——引き退くことで、却って身を守ることができるのだ。

神龍易子の深い読み

あなた、大きな相手と争おうとしているのよね。あるいはもう争ってみて、「これは勝てない」と気づき始めているのよね。わたしはね、この九二を見た時、「負けを認める勇気を持ちなさい」と伝えるの。

わたしはね、九二の「三百戸に帰る」という言葉がとても好きなの。大きな世界で戦い続けるより、自分が輝ける小さな場所に戻ること。それは敗北じゃないわ。本当の賢さよ。あなたの居場所は、きっとそこにあるから。

九二のキーワード

  • 潔い撤退
  • 小さな場所での平安
  • 力量の見極め
  • 引き時をわきまえる
  • 中の徳
  • 無謀な争いを避ける
  • 本来の居場所へ

爻の変化を学ぶ

九二が変わると生じる卦:天地否

これは今回の結果に別の吉凶を加えるものではなく、この爻が変化した場合に生じる卦を示す易学的な深掘り情報です。

天地否てんちひ・第12卦
天地が交わらず万物が滞る閉塞の卦。しかし君子はこの時こそ内を固める。

爻から卦全体へ

天水訟という卦をもっと知る

争いと対立の卦。正当な主張があっても争いを長引かせるな。中途和解が最善。

天水訟の卦辞

訟、孚あり。窒る。惕れ中するは吉。終するは凶。大人を見るに利し。大川を渉るに利せず

しょう、まことあり。ふさがる。おそれなかするはきち。おわりするはきょう。たいじんをみるによろし。たいせんをわたるによろせず

訟は正しい主張があっても、争いは中途でやめるのが吉。最後まで争えば凶。公正な第三者に仲裁を求めよ

孚(まこと)——正当な主張
訴えに正当な理由はある。しかし正しさだけが争いを解決するわけではないのが現実の難しさです。正当性は持ちながらも、智慧ある引き際が必要です。

中するは吉——引き際が肝心
争いを半ばでやめること——これが天水訟の最大のメッセージ。「勝ちたい」という執着を手放せるかどうかが、結末を左右します。

大人を見るに利し——公正な仲裁者
「大人(たいじん)」とは、公正で徳のある人物。一人で争うより、信頼できる第三者に仲裁してもらうことで、双方が傷つかない解決が生まれます。

天水訟(てんすいしょう)は、易経・六十四卦の第六卦です。上卦が「乾(☰)」天、下卦が「坎(☵)」水。天は上へ、水は下へ——方向が真逆に動く二つの力が衝突する形を表しています。

「訟(しょう)」は訴訟・争いを意味します。水雷屯(第三卦)の産みの苦しみを経て、山水蒙(第四卦)で学び、水天需(第五卦)で待った後、やがて力と力がぶつかり合う——これが天水訟です。

卦辞は「孚あり」と始まります。つまり、正当な理由がある争いです。不当な訴えや言いがかりではない。にもかかわらず、易は「中するは吉、終するは凶」と言います。たとえ正しくても、争いを最後まで押し通せば必ず傷を負う、と。

この卦が示すのは、争いを「勝つか負けるか」でとらえないことが大切です。中途和解・第三者への仲裁依頼・自分から引くこと——これらが最善の道です。

神龍易子と読む 天水訟

あなた、天水訟を調べているのね。今、誰かと揉めているかしら、それとも揉めそうな予感がある?

この卦はね、「争うな」というより「争い方を間違えるな」という卦よ。あなたに正当な言い分があることは、卦辞の「孚あり」が認めている。でもね、最後まで争い続けることの代償はとても大きいの。

易は「中するは吉、終するは凶」と言っているわ。途中でやめる勇気——これが今のあなたに一番必要なことかもしれない。

天水訟でわたしが感慨深いのはね、九五の爻よ。「訟して元吉」——争いをうまく収めて大いに吉。この爻だけが本当の意味で「吉」なの。

訴訟で勝っても、人間関係は壊れる。勝訴して職を得ても、帯を剥ぎ取られる(上九)——易はそこまで見通しているわ。

争いが避けられないなら、公正な人を間に立てなさい。そして相手と再び向き合える日を、心のどこかで目指してね。それが人としての「訟の終わり」よ。

天水訟のキーワード

  • 争い
  • 訴訟
  • 対立
  • 主張
  • 和解
  • 仲裁
  • 引き際
  • 警戒

今回の問いへ戻る

天水訟 九二を全体運でどう読むか

大きな争いからは引き退いて、本来の場所に戻る時

平

あなた、今ね、自分より大きな相手や組織と戦っていて、「勝てないかもしれない」という感覚が出てきているのよね?

わたしはね、この爻の全体運はね「賢い撤退」を強く示しているの。無理な争いを続けることより、自分が本来輝ける場所に戻ることが、今のあなたには必要よ。

「眚なし」——引き下がることに恥はない。あなたの力量は確かよ。ただ今の相手・今の場所が合っていないだけ。

あなたにはあなたの「三百戸」——本当の居場所がある。そこで改めて力を発揮することが、全体的な流れを良くするわ。

今回の問いへ戻る

天水訟 九二を恋愛でどう読むか

無理な恋愛は続けず、自然体で過ごす時

平

あなた、今ね、どうにもうまくいかない恋愛に時間と気力を注いでいないかしら?

わたしはね、恋愛に九二が出た時ね「相手が違うか、時期が違う」のサインを見るの。力を尽くしても振り向いてもらえない、すれ違いが続く——それは「訟に克たず」の状態よ。

「帰りて逋る」——今は引いて、自分本来の場所に戻ることよ。無理に追いかけ続けても、消耗するだけ。

「眚なし」——引くことで傷つかずに済む。今は静かに自分を取り戻す時よ。次の縁が、きっと来るわ。

今回の問いへ戻る

天水訟 九二を縁談・結婚でどう読むか

縁談に無理は禁物。条件に執着しすぎないで

平

あなた、縁談のことで、「どうしてもこの条件じゃないと」と無理に押し進めようとしているのよね?

わたしはね、縁談に九二が出た時ね「今は縁が整っていない」と見るの。無理に進めても、喜ばしい結果にはなりにくいわ。

今の縁談が成立しなくても、それはあなたにとって「眚なし」——災いではないの。もっとふさわしい縁が、別にあるのかもしれない。

焦らず、自然な流れに任せること。あなたの本当の縁は、争って手に入れるものではないわ。

今回の問いへ戻る

天水訟 九二を仕事・就職でどう読むか

今の争いや競争からは引いて、実力を蓄える時

平

あなた、仕事のことで、大きな組織や強い相手と張り合っていて、「なかなかうまくいかない」と感じているのよね?

わたしはね、仕事に九二が出た時ね「今は大きな戦いではなく、自分のフィールドを固める時」と読むの。今の競争を無理に続けることより、自分の強みを活かせる場所に戻ることが大切よ。

転職、部署異動、独立——どんな形でも「本来の自分の場所」に近づくことが、今の仕事運には吉に働くわ。

「眚なし」——今の選択は正しい。小さくても自分が輝ける場を大切にして。

今回の問いへ戻る

天水訟 九二を金運・財運でどう読むか

無理な勝負より、堅実な管理を

平

あなた、今ね、お金のことで何か勝負をかけたり、大きな相手と交渉していたりしているのよね?

わたしはね、金運に九二が出た時ね「大きな利益を狙うより、損をしない選択」を優先することを勧めるの。今は「訟に克たず」——無理な勝負は分が悪いわ。

投資・取引・交渉——引き際を見極めて。ここで無理をすると、損失が広がる可能性があるわ。

「眚なし」——引いても災いはない。小さくても確実なお金を守ることが、今の金運を守る最善策よ。

今回の問いへ戻る

天水訟 九二を健康・病気でどう読むか

無理をせず、体を休ませる時

平

あなた、体や気力のことで、「もう少し頑張れるはずだ」と無理をしていないかしら?

わたしはね、健康に九二が出た時ね「今は体の声に従って引く時」と読むの。「訟に克たず」——今の状態で無理をすることは、体という「相手」には勝てないのよ。

休むことは敗北じゃない。「帰りて逋る」——本来の体の状態に戻るために、一度立ち止まることよ。

「眚なし」——休むことで回復できる。今の体に従って、無理なく過ごして。

今回の問いへ戻る

天水訟 九二を家庭・家族でどう読むか

家庭の争いは、長引かせず落ち着かせて

平

あなた、家族の間で意見の対立や揉め事が続いているのよね? 誰かと「どちらが正しいか」という争いになっているかしら。

わたしはね、家庭に九二が出た時ね「今の争いは勝っても傷が残る」と見るの。家族との争いはね、勝っても本当の意味では勝てないのよ。

「帰りて逋る」——今は引いて、本来の家族の穏やかな関係性に戻ることよ。どちらが正しいかより、どちらが家族を守るかを選んで。

「眚なし」——引くことで、家族の関係は守られる。それが今のあなたにできる最善の選択よ。

今回の問いへ戻る

天水訟 九二を学業・受験でどう読むか

今は結果を焦らず、地道な積み重ねを

平

あなた、勉強や試験で、なかなか思うような結果が出なくて、「もっと頑張らないと」と無理をしていないかしら?

わたしはね、学業に九二が出た時ね「今は結果を焦る時期ではない」と見るの。今の自分の実力で挑んでも勝てない舞台は、まだあるのよ。

「帰りて逋る」——今は自分の実力を磨く段階に戻ること。基礎を固め直すことが、遠回りのように見えて最短路よ。

「眚なし」——焦らずに戻ることに恥はない。着実な積み重ねが、必ず次の結果につながるわ。

今回の問いへ戻る

天水訟 九二を旅行でどう読むか

旅は問題が起きたら無理をせず方向転換

平

旅先でのトラブルや予定通りにいかない状況——無理に突き進まず、一度引いて別の道を探すことよ。

「眚なし」——方向転換しても災いはないわ。安全な旅を優先して。

今回の問いへ戻る

天水訟 九二を待ち人でどう読むか

待ち人は遅れるかも。無理に連絡しなくて大丈夫

平

待っている人は来るけれど、少し遅れるかもしれないわ。無理に追いかけると、かえって気まずくなることも。

あなたはあなたの「三百戸」——本来の場所でじっと待っていて。相手は必ずそこへ来るから。

今回の問いへ戻る

天水訟 九二を失せ物でどう読むか

失せ物は焦って探すより、落ち着いて考えて

平

あちこち探し回っても見つからないのは、探し方が間違っているのかもしれない。一度落ち着いて、最後に使った場所・場面を思い出してみて。

焦れば焦るほど遠のくわ。「帰りて」——原点に戻る感覚で探し直してみて。

今回の問いへ戻る

天水訟 九二を引越し・転居でどう読むか

引越しは今の条件・場所を一度見直して

平

引越しや転居で無理に進めようとしているなら、一度立ち止まってみて。今の条件や場所に、まだ気づいていない良さがあるかもしれないわ。

「帰りて」——今の場所に戻ることを検討してみるのも一つの答えよ。

今回の問いへ戻る

天水訟 九二を訴訟・争い事でどう読むか

争い・訴訟は引き際を見極めて

平

「訟に克たず」——この訴訟、正直なところ勝てる見込みはどうかしら。わたしはね、今のあなたには「潔く引く」ことを勧めるわ。

「眚なし」——引いても災いはない。むしろ続けることの方が、傷が大きくなるのよ。今すぐ弁護士や相談者と話し合って、解決策を探して。

𝕏 でシェアLINE でシェア