易のいろは

第6卦 · 上経

天水訟てんすいしょう

Conflict

争いと対立の卦。正当な主張があっても争いを長引かせるな。中途和解が最善。

  • 争い
  • 訴訟
  • 対立
  • 主張
  • 和解
  • 仲裁
  • 引き際
  • 警戒
天水訟の卦図

卦のかたちを知る

天水訟の基本構造

第6卦天水訟
上卦(外卦)乾 けん · 金
下卦(内卦)坎 かん · 水

案内役 神龍易子

神龍易子と天水訟を読む

あなた、天水訟を調べているのね。今、誰かと揉めているかしら、それとも揉めそうな予感がある?

この卦はね、「争うな」というより「争い方を間違えるな」という卦よ。あなたに正当な言い分があることは、卦辞の「孚あり」が認めている。でもね、最後まで争い続けることの代償はとても大きいの。

易は「中するは吉、終するは凶」と言っているわ。途中でやめる勇気——これが今のあなたに一番必要なことかもしれない。

原典を読む

天水訟の卦辞

原文・読み・現代語訳を分けて示し、言葉の種類を混同せずに読み進めます。

原文

訟、孚あり。窒る。惕れ中するは吉。終するは凶。大人を見るに利し。大川を渉るに利せず

読み

しょう、まことあり。ふさがる。おそれなかするはきち。おわりするはきょう。たいじんをみるによろし。たいせんをわたるによろせず

現代語訳

訟は正しい主張があっても、争いは中途でやめるのが吉。最後まで争えば凶。公正な第三者に仲裁を求めよ

孚(まこと)——正当な主張

訴えに正当な理由はある。しかし正しさだけが争いを解決するわけではないのが現実の難しさです。正当性は持ちながらも、智慧ある引き際が必要です。

中するは吉——引き際が肝心

争いを半ばでやめること——これが天水訟の最大のメッセージ。「勝ちたい」という執着を手放せるかどうかが、結末を左右します。

大人を見るに利し——公正な仲裁者

「大人(たいじん)」とは、公正で徳のある人物。一人で争うより、信頼できる第三者に仲裁してもらうことで、双方が傷つかない解決が生まれます。

卦全体を理解する

卦全体の理解

一

天水訟(てんすいしょう)は、易経・六十四卦の第六卦です。上卦が「乾(☰)」天、下卦が「坎(☵)」水。天は上へ、水は下へ——方向が真逆に動く二つの力が衝突する形を表しています。

二

「訟(しょう)」は訴訟・争いを意味します。水雷屯(第三卦)の産みの苦しみを経て、山水蒙(第四卦)で学び、水天需(第五卦)で待った後、やがて力と力がぶつかり合う——これが天水訟です。

三

卦辞は「孚あり」と始まります。つまり、正当な理由がある争いです。不当な訴えや言いがかりではない。にもかかわらず、易は「中するは吉、終するは凶」と言います。たとえ正しくても、争いを最後まで押し通せば必ず傷を負う、と。

四

この卦が示すのは、争いを「勝つか負けるか」でとらえないことが大切です。中途和解・第三者への仲裁依頼・自分から引くこと——これらが最善の道です。

初爻から上爻へ

天水訟 六爻の流れ

  1. 一初爻

    初六

    争いを長引かせるな。多少の批判はあるが、早めにやめれば最終的に吉

    中吉
    初六を詳しく読む
  2. 二二爻

    九二

    争いに勝てないと悟り引き退く。小さなコミュニティに戻れば災いなし

    平
    九二を詳しく読む
  3. 三三爻

    六三

    先人の遺産や実績を守る。厳しくとも正しく守れば最終的に吉

    小吉
    六三を詳しく読む
  4. 四四爻

    九四

    争いに勝てず引き返し、本来の天命に立ち返る。改めて正道に安んじれば吉

    吉
    九四を詳しく読む
  5. 五五爻

    九五

    公正な裁きを得て、争いが正しく解決される。大いに吉

    大吉
    九五を詳しく読む
  6. 六上爻

    上九

    争いに勝って栄誉を得ても、朝のうちに奪い取られる。勝訴の栄誉は束の間

    凶
    上九を詳しく読む

六爻の本文は既存の現代語訳 trans を改変・短縮せず表示しています。

案内役 神龍易子

六爻を振り返る

天水訟でわたしが感慨深いのはね、九五の爻よ。「訟して元吉」——争いをうまく収めて大いに吉。この爻だけが本当の意味で「吉」なの。

訴訟で勝っても、人間関係は壊れる。勝訴して職を得ても、帯を剥ぎ取られる(上九)——易はそこまで見通しているわ。

争いが避けられないなら、公正な人を間に立てなさい。そして相手と再び向き合える日を、心のどこかで目指してね。それが人としての「訟の終わり」よ。

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