易のいろは

第18卦 · 上経

山風蠱さんぷうこ

Work on the Decayed

腐敗・停滞した状態を正面から修復する卦。困難な改革こそが新たな繁栄を生む。

  • 腐敗の修復
  • 改革
  • 立て直し
  • 先人の過ち
  • 蠱毒
  • 刷新
  • 根本からの修正
  • 新生
山風蠱の卦図

卦のかたちを知る

山風蠱の基本構造

第18卦山風蠱
上卦(外卦)艮 ごん · 土
下卦(内卦)巽 そん · 木

案内役 神龍易子

神龍易子と山風蠱を読む

あなた、山風蠱を調べているのね。これはね、「腐敗を修復する」ための卦よ。

山の下で風が止まっている——空気が淀んで、何かが腐り始めている状態。見て見ぬふりをしてきた問題、先延ばしにしてきたこと、誰かが「まあいいか」と放置してきた弊害——それがこの卦のテーマよ。

でもね、この卦は「大いに亨る」というの。腐敗を見てそこから逃げるのでなく、正面から向き合って修復する人には、必ず大きな道が開かれる——それが蠱の約束よ。

原典を読む

山風蠱の卦辞

原文・読み・現代語訳を分けて示し、言葉の種類を混同せずに読み進めます。

原文

蠱、元亨。大川を渉るに利し。甲の先三日、甲の後三日

読み

こ、げんこう。たいせんをわたるによろし。こうのさきみっか、こうののちみっか

現代語訳

蠱は大いに亨る。大川を渡るに利し。改革の前後に十分な準備と後始末を

蠱(こ)——腐敗から生まれる再生の力

「蠱」とは器の中に虫が湧くこと。放置された問題、積み重なった弊害を示します。しかし腐敗には腐葉土が養分になるように、修復のエネルギーも内包されています。

大川を渉る(たいせんをわたる)——困難な改革への挑戦

大河を渡るような大きな困難——つまり、抜本的な改革に今こそ挑む時です。問題が大きいほど、解決した後の繁栄も大きい。

甲の先後三日(こうのさきごさんにち)——準備と後始末を怠るな

改革の前に十分な調査・準備を、改革の後に安定・定着の期間を設ける。焦って始め、放り出して終わる改革は必ず失敗します。

卦全体を理解する

卦全体の理解

一

山風蠱(さんぷうこ)は、易経・六十四卦の第十八卦です。上卦に「艮(☶)」山、下卦に「巽(☴)」風を配します。山の下で風が止まった象——空気が淀み、腐敗が進む状態です。「蠱(こ)」は虫が器の中に湧く様子を表し、腐敗・堕落・弊害を意味します。

二

前の卦「沢雷随(第十七卦)」が「喜んで従う」卦なら、蠱はその行き着いた先——随い続けた結果として積み重なった弊害を示します。しかしこの卦は、腐敗を嘆くだけではなく、「修復せよ」という積極的なメッセージを持ちます。

三

卦辞の「甲の先三日、甲の後三日」が蠱の特徴です。「甲(こう)」は天干の最初で「新しい始まり」を意味します。改革には、事前の準備・調査(三日前)と、事後の安定・定着(三日後)が必要だということです。

四

この卦が示すのは、問題を見て見ぬふりをせず、正面から取り組む時です。腐敗・停滞の原因を丁寧に調べ、根本から立て直す。困難な作業ですが、「元亨」——大いに亨ると易は保証しています。

初爻から上爻へ

山風蠱 六爻の流れ

  1. 一初爻

    初六

    父の作った問題を子が修復する。険しい道だが終には吉

    中吉
    初六を詳しく読む
  2. 二二爻

    九二

    母の問題を修復する。強引にできないが、柔軟に対処する

    平
    九二を詳しく読む
  3. 三三爻

    九三

    父の問題に取り組む。小さな後悔はあるが大きな咎なし

    中吉
    九三を詳しく読む
  4. 四四爻

    六四

    問題を甘く扱う。このまま進めば恥を見る

    小凶
    六四を詳しく読む
  5. 五五爻

    六五

    父の問題を修復して誉れを得る。実力を認められる

    吉
    六五を詳しく読む
  6. 六上爻

    上九

    権力に仕えず、高い志で自ら道を歩む。蠱を超えた境地

    吉
    上九を詳しく読む

六爻の本文は既存の現代語訳 trans を改変・短縮せず表示しています。

案内役 神龍易子

六爻を振り返る

蠱という字はね、「皿の上の虫」という形よ。でも古代では、複数の毒虫を皿に入れて戦わせ、最後に生き残った虫の毒を薬として使ったという話もあるの。

毒が薬になる——弊害の中から改革のエネルギーが生まれる。山風蠱は、そういう逆説の力を持つ卦なのよ。

父母の蠱(ちちははのこ)という言葉が爻辞に出てくるの。先代が作った問題を受け継いで、子が修復する——これは非常に名誉ある仕事で、易はそれを高く評価しているわ。誰かの失敗を後始末することを恐れないで。

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